生酛づくり

若林酒造では「生酛」に力を入れています。現杜氏、山口竜馬は近年に至るまで全く使われなくなった製法「生酛」を独学で勉強し、島根県の酒蔵で初めて復活させました。
「生酛」とは自然に存在する乳酸菌を取りこみ、繁殖させて乳酸を得て育成した酒母の事を言います。「生酛」は現在主流となっている製法「速醸」に比べると、時間と手間のかかる製法です。しかし生酛造りの日本酒は深みのある味わいとコクが特徴で熟成にも向いている事から私たちが目指す個性的な酒を造るうえで欠かせない造り方です。
木桶を使った酒造り

木桶とは木を加工してできた桶の事です。
木桶を使った酒造りは普段酒造りで使用しているホーローやステンレスのタンクとは違い微生物の働きをコントロールしにくく、管理が大変ですが、その分木桶でしか出せない味わいや香りが特徴です。
若林酒造では蔵で眠っていた木桶を2002年に復活させて酒造りに取り入れています。現在大型の木桶を造れる修理できる職人は極少数であり生産量に限りがあります。しかし近年木桶から出る独特な個性に惹かれて木桶を使う企業が増えてきておりこれからの木桶を使った酒造りに注目してほしいです。
全量純米酒蔵

自社で生産する日本酒全て純米酒です。
使用する酒米は市内の契約農家で取れる山田錦を中心に、島根県で生産する酒米「神の舞」、「佐香錦」、「縁の舞」等です。
また、若林酒造では町おこしの一環として酒米作り集団「酒仙蔵人五郎之会」の活動を平成10年からしており、地元の契約農家と酒仙蔵人五郎之会会員と共に亀の尾を栽培しています。
米の旨味を生かした日本酒を目指し、地元の食材、料理に合わせて飲んで楽しんでいただける酒造りを心がけています。
仕込み水

若林酒造は海に近く酒造りに適した仕込み水が確保できないことから大正時代末期、苦心の末、酒蔵から4キロメートル離れた自社が所有する山から採れる石清水(中硬水)を発見し、水源地から酒蔵まで地下にパイプラインをつないで使用しています。
この石清水のおかげで豊富な水量を確保できることから地元の方や温泉津町を訪れる観光客の方にも無料で提供しております。
お酒の味の8割は水で決まるという言葉がある通り若林酒造が造る日本酒の味はこの石清水によって成り立っています。
仕込み蔵



創業当時から使用している土壁の蔵で現在も仕込みをしています。
150年を超える歴史のある仕込み蔵に生息している微生物の力を借りた酵母無添加の生酛造り、木桶仕込み等、伝統製法の酒造りを重視しています。
使用している槽は全国的に珍しいヤエガキ式を使用しています。
こちらの槽は何枚もある鉄板の間に酒袋を入れて重さによって搾る仕組みとなっています。余分な力で無理やり搾る事がない分、雑味の少ない綺麗なお酒が出来上がります。
特約店販売

若林酒造では特約店の販売に力を入れております。
これは飲食店や販売店とより親密にコミュニケーションを取りたいと考えているからです。
自社の商品は棚に並べるだけでは売れないと考えています。
年に1回、7月の海の日に温泉津町にて飲食店、酒販店限定の開春の呑み切り会を行っています。そして色々ご意見をいただき、それを元に酒造りに反映させていけたらと考えています。